
故郷(ふるさと)を思う市民の一人として
2003年8月、縁に引かれたのであろうか、それまで13年間離れていた故郷 稚内に私は帰ってきた。「故郷は遠きにありて思うもの」とは、よく言ったもので、稚内から遠く離れて行けばいくほど故郷とそこに暮らす家族や親友を思って生きていたのに比べ、稚内に暮らし始めた私はこの地域の可能性に目を向けることなく、自分たちの暮らすこのまちがもっとよくなればいいなという期待を持つこともなく、日々の仕事や生活に追われながらいた。
そんな折、再び縁に導かれ、社団法人稚内青年会議所に入会した。2007年のことである。ここには故郷である稚内を愛し、その可能性に思いを馳せ、地域の将来について真剣に語り合う場があり、そこに集う人々がいた。故郷に大きく根をはりながら、故郷を思い、語り、そして活動することから得られる面白さと感動はJC以外の活動で得られることは実は悲しいほど少ない。
我々JAYCEE一人ひとりが故郷を思う凛然とした市民の一人として、地域に根を据え、アンテナをはろう。
夢と理想と目標を持つ逞しい人が地域を牽引する
地域の可能性も宝もその存在を見出し、光を当てるのは人である。様々な機会でほかのまちに行くと、そのまちの良さや人の温かさに限らず、例えば通りの看板一つの文言にさえ気付かされ、励まされることがある。幸いにも私の周りには、仕事の上であれ、JCとして関わりあいであれ、「稚内が面白い」「このまちすごいですね」と仰っていただける稚内以外の人が少なからずいる。当然私たちの故郷にも、人の心を動かす力が有形無形に存在するのだ。
自分の弱さを知ることは、強くなるための必要条件であることは間違いない。しかし、そろそろ我々青年こそが、自らを結いて暮らす地域の弱さにばかり目を向けるのは止して、故郷の強さを見出し、それに誇りを持とう。弱さに目を向ける割には「今、この時の満足感」に慣れてしまい、目的を持つことや目標に向かうことを忘れてしまってはいないか。まずは地域に対して夢と理想と目標を持とう。そのことがそれに向かって一生懸命に生きることを可能にし、人生を充実したものにしてくれるだろう。
組織としてのJCが、そして一人ひとりの我々JAYCEEが、先頭に立ってまだ見ぬその先の理想へ手を伸ばす逞しさを身に付けたとき、「明るい豊かな社会」を築き上げるための我々の運動もステージアップする。
研修・運動を通じての資質向上こそが稚内の発展に寄与する
外から内からよく問われる。「JC入って何をやってるの?」「JCに入ってどんなことがしたいの?」と。冒頭に書かせていただいた新入会員の頃、私はこの簡単な質問に明確な答えを紡ぐことができなかった。何をやるか、どんな運動をするかという問いに答えを出すことや、その先にある行動に出るには活動する地域に対する深い洞察や人との繋がり、チームを引っ張るリーダーシップといった土台が必要である思う。そして、この土台を築こうとする姿勢こそが青年経済人の集まりといわれる我々に求められる資質そのものである。貴重な人材を輩出いただいている企業や団体から求められているのも、そういった資質の向上であることは間違いない。つまりはJC運動の土台作りをしっかり行うこととその先の運動による資質向上こそが、そのまま企業や稚内を支える大きな力となるはずであろうし、そうでなければこの地に青年会議所がある意義は急速に極小化する。
研修や運動を通じて自らを磨き、さらに己の行動を律し、その上で地域に大きく足を踏み出すことにより、我々の運動は認知され理解され信頼されると信じる。また、次代は我々が担うといった青年らしい矜持を持って思いきり行動できる団体こそが青年会議所であるはずだ。
子供たちの夢を受け止めて余りある懐の深いまちを
子供は我々の背中を見て、こともなげにその行動を見透かし、嘘を見抜く。そして、我々が思う以上に我々の期待に応えようとする。ニュースなどのインタビューに小中学生が出てくると、インタビュアーの期待通りの返答をしている姿が度々映しだされる。子供たちの口をついて出てくる夢が、私たちの頃より小さく・現実的に聞こえるのは、子供たちが社会や時代に語る夢のサイズを合わせているからに違いない。限りなくも見える未来を持った子供たちに大きな夢を語ってもらえる社会を再興しなければならない。
「その夢、きっと叶うぜ」と言ってあげられる大人が、大きな夢を持つ子供たちをしっかり見守り、支えられる懐の深いまちを目指したい。その為に「夢」を仲立ちとして子供たちと地域が接点を持つ機会を増やしたい。壮大な夢を受け止めてくれる大人がいるんだと子供たちに気付いてもらうことが、誇らしい故郷創造につながると信じて。
稚内市民であることは如何なることかを認知してもらうことで無関心を打ち破れ
JCには市民意識変革運動という、四角張った名前の付いた統一運動がある。市民の社会への積極的な参画を、意識変革を通じて展開しようとするものだが、現状の社会や政治への無関心は日本全国に蔓延り、目を覆うばかりである。もはや無関心という一言では片づけることのできない惨状と言っても過言ではない。
我々は過去2回における市長選の公開討論会の開催や市民議会の開催とそれに伴う、市民討議会の開催、市政の仕組みを啓蒙する事業など、これまで市民の政治参画を促す取り組みを積極的に行ってきた。選挙によって選ばれた市政の責任者や代表が稚内の進むべき道を決して行く際に、どのようにして市民としての声を届けて、更には効果を検証するのかを広く市民に伝播し、展開することで、市民とは市政に対し如何にあるべきかを認知していただき、まずは足元への無関心を打破したい。
運動の歴史をこの先も紡いでいくがための組織改編と組織進化を
時代の趨勢や社会の変化に伴い、我々の運動や組織の在り方も変化してゆくのは当たり前のことであり、また求められる運動をしてゆくために変化してゆかなければ必要とされる組織足りえない。しかし、法律が変わることにより半世紀以上に渡り先輩方から脈々と受け継がれてきた、LOMの文化や運動への思いは何らの影響を受けるものではないと信じる。
一昨年、社団法人 日本青年会議所は解散し、公益社団法人 日本青年会議所として新たな歩みをスタートさせた。平成18年に110年間続いた公益法人制度が改革され、すべての公益法人がそのあり方の選択を迫られている。我々にとっても組織的に大きな転換期にあたり、あらゆる定款・規則・会計処理や手順の見直しをしっかりと行い、次代を見据えた組織運営の基礎を構築しなければならない。その為に過去の事業やその実績を改めて検証し、新たな組織運営に適合させてゆくことも必要になろう。
LOMの運動すべてを支える総務
私自身、入会2年目に総務の副委員長を仰せつかった。自らの担当例会を抱えながら、資料の作成・収集、各種届出や諸会議や例会・事業の準備などその働きは多岐に渡り、年度の本格始動前から、年度末まで表に裏に様々な動きをしていただくこととなる。我々の運動の根源となる諸会議・例会・事業、どれをとっても総務の働きなしにスムーズな運営は望めない。近年、専務理事の負担増がよく語られるが、それに伴う総務の負担も増えているのが現状である。今年度は昨年度行われた議案フォーマットの変更を受け、添付資料のファイル形式の統一や会議スケジュールに合わせた各委員会への上程の働きかけを強め、各委員会開催日のスケジュール化などを進めることにより、諸会議の準備における総務の諸事務とそれに伴うLOM運営の更なる円滑化を進めたい。
その扉の向こうへ~第61回 北海道地区大会 稚内大会
13年の時を経て北海道地区大会をこの稚内の地で開催する。昨年、北海道地区協議会は60周年を迎え、同じく大会も60回の節目を刻んだ。紛れもなく北海道地区大会は、地区協議会最大の運動発信の場であり、同時に効果を検証する場である。同時にそれは主管させていただく我々にとっては、故郷である稚内の魅力を全北海道にPRする大きなチャンスである。更には青年会議所の運動の何たるかを稚内市民に知っていただく、又とない機会なのだ。
全メンバー一丸となって大会運営に邁進することで、まず我々が光を放とう。我々が光り輝いていなければ、市民の賛同は得られるべくもないし、ましてや参画は望めない。そして、その扉をオール稚内で開けよう。扉の向こうには希望に満ち溢れた誇らしい故郷 稚内が広がっているのだから。
復興への歩みを支援する~市民とともに
2011年3月11日14時46分、我々の経験値の中では量り知ることのできなかった巨大地震とそれに伴う災害、地震のその時まで国策として推進されてきた原子力発電所の事故により日本は歴史の境目に立たされ、かつて我々の先輩が「日本の再興は我々青年の手で」と立ち上がった時と同じ状況を否応なしに目の当たりにすることとなった。今こそ一人ひとりのJAYCEEとしてのみならず、一人の日本国民として日本の復興創造に取り組まなければならない。
被災地は無惨にも破壊された故郷にしっかりと足を付けて復興に向けての歩みを進めている。我々は復興への道程を歩き続ける被災地に対して必要な支援を市民への働きかけと共に継続して行う。
がんばろうNIPPON 確かな一歩を踏み出そう
結びに
日本青年会議所の設立趣意書は次の一文で始まる。
全人類の光明は、われわれ青年会議所の純粋な正義感と、目的完遂の確固たる実行にうらづけられて初めてその輝きを見出し得る。
現状の稚内に目を向けた時、今ほどこの一文が胸を打つ時は無い。我々もこの故郷に光明を見出すために行動しよう。そう、求められているのは行動である。しっかりとした目的意識と強い誇りを持った逞しい青年としての一歩を踏み出そう。誇らしい故郷創造は私たち青年の手の中にある。


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